中国・上海市では、1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者が2万人を超える日が続いている。一部、外出制限が解除される地区もあるというが、十分な食料品購入はできないままだ。4月14日現在、現地の日本人コミュニティーは食料品の入手経路がすっかり絶たれた状態にある。「コメがない」「塩がない」――そんな切実な声が聞こえてくる。(ジャーナリスト 姫田小夏)

動き出す領事館の支援

食料不足の上海で「不公平問題」に揺れる在住日本人、納豆・ポテチは贅沢品?浦西のあるマンションに送られてきた食料品のセット(浦西・閔行区在住者提供)

 上海市の中心部を流れる黄浦江を境に、東側(以下、浦東)は3月28日から、西側(以下、浦西)は4月1日から都市封鎖された。市は11日、市内の4割強の地区を対象に外出制限を一部解除すると発表したが、ロックダウン下の上海で、日本人居住者は今なお不便な生活を送っている。

 浦西の長寧区に住む日本人のAさんは、「デリバリーもなく、“団購”もできず、肉と野菜だけで過ごしています」と近況を筆者に知らせてくれた。「団購」とは、住宅地ごとに一括して食料品をグループ購入するシステムだが、一定の注文数を満たすことが条件となるなど、利用には壁がある。

 上海市は中国人だけでなく外国人にも食料品セットの配給を行っているが、Aさんはその中に入っている肉と野菜だけで食いつないでいる状況だ。主食は尽きてしまったので、ビスケットを食べてしのいでいるという。

 一方、浦東のあるマンションに住む日本人世帯には、市から配給された食料品セット以外に、希望者のもとにコメと飲用水が届いた。住人の一人によれば「上海総領事館が手配してくれたものです」という。食糧入手の経路が絶たれた現地の日本人コミュニティーを救済するため、在上海日本国総領事館(以下、領事館)も奔走しているようだ。