4月から始まる新学期や新生活を前に、多くの日本の外国人留学生が「果たして、日本人の友達はできるのだろうか」と悩んでいる。留学生が日本社会に溶け込むのは容易ではない。友達作りがうまくいかず、「孤独死するんじゃないか」と不安に陥る留学生もいる。中国人留学生に至っては、近年の国際政治のあおりをもろにかぶっている。留学生の友達関係に目を向けてみた。(ジャーナリスト 姫田小夏)
『大丈夫です』が唯一使う日本語
「日本に憧れて来日したものの、実は日本人の友達がいない中国人留学生は少なくありません」――。こう語るのは日本語学校の関係者だ。大学進学を目前にするこの時期、留学生たちが思い悩むのは、新しい環境で日本人の友達を作れるかどうかだ。
2020年以降の新型コロナウイルスのまん延も、彼らから友達作りの機会を奪っていた。オンライン授業に切り替わり、人と会うことも少なくなった彼らは、自宅にこもりがちの生活を余儀なくされた。
会話をする相手もなく、「一日のうちで使うのは『大丈夫です』という日本語だけです」と打ち明ける留学生もいた。彼が使うこの唯一の日本語は、コンビニの店員から「レジ袋いりますか?」と尋ねられたときの返答だという。