米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が金融引き締めを加速させようとしている。その目標は単純明快だ。経済成長を加速も減速もさせない「中立」水準まで利上げするというものだ。だが、これには落とし穴がある。この理論的な水準は、平時でさえ誰にも正確には分からないのだ。しかも今は平時ではない。FRBを取り巻く状況は変わりつつあり、インフレ率が高水準であることを考慮すると中立水準はFRB幹部らの最近の想定よりも高くなるかもしれない。そう考えるだけの十分な理由がある。FRB幹部らは5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、9兆ドル(約1158兆円)に膨らんだバランスシートの縮小計画を承認するとともに、政策金利を0.5ポイント引き上げる見通しだ。さらに6月も0.5ポイントの利上げを行うとみられている。
利上げ急ぐFRB、打ち止め水準は見えず
インフレ率の上昇は「中立的」な金利を見極める上で新たな課題を突き付けている
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