テラUSD崩壊の衝撃、仮想通貨で「取り付け」Photo:NurPhoto/gettyimages

 暗号資産(仮想通貨)のテラUSDに与えられた任務はただ1つ。コイン1枚当たり1ドルの価値を死守することだ。

 2020年の誕生以降、テラUSDはその任務を総じて果たし、1セント以上かい離することはほぼなかった。そのため、振れの激しい仮想通貨市場で資金を安心して預けておける「安定の島」になっていた。

 ところが、テラUSDも今週、その荒れ狂う波の中に投げ出された。9日にはおよそ3割急落。さらに11日には23セントまで売り込まれた。

 テラUSDの崩壊で投資家は数十億ドルの損失を負った。その影響は他の仮想通貨にも波及し、ビットコインも連れて急落。テラUSDと同じく、法定通貨に価値を連動させるステーブルコインの一種であるテザーも12日の取引で一時96セントまで下落したが、その後は持ち直した。仮想通貨取引所大手の米コインベース・グローバルの株価は年初来およそ81%値下がり。同社は10日、ユーザーと売買高が落ち込んでいると明らかにした。

 仮想通貨市場は近年、独自の銀行や融資の機能を備えるなど成熟を遂げ、従来の金融システムに肩を並べる存在になりつつあった。これにより、ウォール街のプロも参入し、ベンチャー投資を引き寄せた。仮想通貨のスタートアップ企業は膨らんだ手元資金の一部を広告やロビー活動につぎ込み、進化している市場だと売り込んだ。