「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が6月1日に刊行される。「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「すべりを爆笑に変える一言集」「ボケられたときの上手な返し方5選」「すべらない話、秘伝のレシピ」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。本書の発売を記念し、その一部を特別に公開する。
ついやってしまいがちな、嫌われる「話の振り方」とは?
もしあなたが気のきいた人なら、自分ばかりが話していると感じたときは相手に話を振ったり、あまり話していない人がいたらその人にパスを投げたりしているでしょう。
しかし、ただ話を振るだけではよくありません。話は「振り方」によって、話しやすさやウケやすさがまったく変わってくるからです。
たとえば、誰かに話を振るとき、よく見かけるのがこんなパターンです。
・最近、なんかおもしろいことあった?
・最近、どう?
こんな大ざっぱな振り方をされても、いったいなにを話せばいいのかわかりません。若手芸人の舞台でも、下手なMCが「で、芝山は最近どう?」なんて振ってきますが、聞かれたほうはなにを話せばいいのかわからず、めちゃくちゃ困ります。
誰かに話を振るときは、テーマまで決めて振る
誰かに話を振る際は、テーマまで決めて振ることが大切です。たとえば、家族の話をしているのであれば、その流れで、「○○さんは最近、家族に関することでなんかあった?」とテーマを絞って振るのです。
そうすれば、振られたほうは「家族」というテーマで記憶を探ることができます。「最近、おかんから変なLINEが来てたな」「昔の兄弟喧嘩の話でもしようかな」「この前、友だちがとんでもない親父の話をしてたな」と、いくつかのエピソードを頭のなかから探すことができるのです。
「話を振る」とは、いわば「相手に、頭のなかからエピソードを探してもらう行為」です。だからこそ、どれだけ「探しやすく振ってあげるか」が大切なのです。
(本原稿は、芝山大補著『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』からの抜粋です)
芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。