「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている彼が、そのノウハウをまとめたのが初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』だ。「今よりちょっとだけおもしろくなり、誰とでも会話をはずませ、一緒にいると楽しいと思ってもらえる。それがこの本で到達できるゴールです」。そう芝山氏が語るように、今日から使える神スキルが満載の一冊だ。同書の一部を特別に公開する。(初出:2022年5月28日)
初対面でも「会話が続く人」と「続かない人」の決定的な違い
特定の相手、シチュエーションで会話が盛り上がらない。そう悩む人は多いものです。「なぜかあの人とだけ会話が盛り上がらない」「職場でだけ会話がはずまない」「初対面の人が苦手」といったケースです。
そんなとき、多くの本で教えてくれる解決策は「話をしっかり聞こう」「共通点を探そう」「リアクションを大きく取ろう」といった内容ですよね。
もちろん、聞き方やリアクションは大切です。しかし、それ以前にもっともっと、もーーーーっと大切なことがあります。
それは、会話のハードルを下げることです。
特定の相手やシチュエーションで会話が盛り上がらない。じつはその理由は単純明快です。その人、そのコミュニティ、そのシチュエーションにおいて、あなたが「中身のある話しかしてはいけない」と思い込んでいるからです。
多くの人は、会話においてキャッチボールが生まれる話題を探そうとします。「最近どう?」「なにかおもしろいことありました?」「最近、なにかあった?」と、会話がはずむテーマを探そうと試みるのです。しかしこうすると、会話のハードルが上がり、話しづらい空気をつくってしまいます。
中身のある話題を探してコミュニケーションを取ろうとすればするほど、相手も「中身のある話をしないといけない」と考え、話す内容を選ぶようになるからです。お互いが肩肘を張った緊張状態となり、高い「会話のハードル」が出来上がってしまうのです。
「話しやすい人」ほど、中身のない話を積極的に織り交ぜる
「この人話しやすい」「話していて楽しい」と思ってもらえるような会話上手な人は、めちゃくちゃしょうもない、どうでもいい話を積極的に織り交ぜます。
・なんか今日、肌カッサカサなんだけど
・ちょっと見てくださいよ! ここ電波1本ですよ
・あっ見て、猫いる
こうした中身のない発言をすると、会話の心理的ハードルがグッと下がり、相手も発言しやすくなります。
よくよく考えると、自然と会話がはずむような仲の良い友だちや、話しやすい先輩、一緒にいて落ち着く恋人との会話では、中身のない話が飛び交っていないでしょうか?
じつはこれこそ、会話のハードルが下がりきった理想の状態です。中身のない発言を織り交ぜているかどうか。このシンプルな差が「話しやすい人」と「話しづらい人」を分ける境界線だったのです。
(本原稿は、芝山大補著『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』からの抜粋です)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。