現実を見始めたテク企業、まだ市場で報われずPhoto:JHVEPhoto/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米国のハイテク株はバブルがはじけてしまったのか、それとも一段と強固なバブルを形成する途中で上昇が一服しているに過ぎないのかという問いは、誰に尋ねるかで答えが変わる。だが、イノベーション(技術革新)絶対主義者の楽観ぶりは、日ごとに行き過ぎの様相を呈している。

 ハイテク業界の多くの企業は現実を受け入れていることを示唆している。米メディア・インターネット複合企業IAC/インタラクティブコープのジョーイ・レビン最高経営責任者(CEO)は5月に株主に宛てた書簡で、戦争やインフレ、世界的なリスク再評価の動きが、企業評価の枠組みを適切に見直すよう促しており、そうした状況は当面続くと予想されると述べた。

 一方、著名投資家のキャシー・ウッド氏は自身のオンラインセミナー「In The Know」で、世界と市場の両方で突如出現したこれらの問題がさらなる技術革新の機会をもたらしていると主張した。

 このところハイテク銘柄はほぼ全面安となっている。投資家が「何が何でも成長重視」から「利益・キャッシュフロー創出重視」に急転換したためだ。例えば、IAC株はこの12カ月で48%安、ウッド氏が運用するアーク・イノベーションETF(上場投資信託)は62%安に沈む(ファクトセット調べ)。