米国はロシアや中国との新たな冷戦の中、同盟を結ぶ相手を探しているが、前回の冷戦における勝利に貢献した手段がないままそうした模索を続けている。その手段とは、関税貿易一般協定(GATT)や北米自由貿易協定(NAFTA)のような経済協定だ。米議会では両党がともに保護主義的な姿勢を強めており、経済協定が支持を得られる見込みがない。ジーナ・レモンド米商務長官は先週、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の際に行われたインタビューで、「第2次世界大戦から現在に至るまで、米国は同盟国と緊密な関係を築くため、伝統的な貿易協定を利用してきた」と述べた。米国が他の環太平洋11カ国と交渉した環太平洋連携協定(TPP)はそうした流れの中にあった。だが、米国はドナルド・トランプ前大統領の方針で2017年にTPPから離脱し、ジョー・バイデン大統領は復帰に向けた動きを見せていない。レモンド氏は「今のところ、(米国の)TPP(参加)が実現することはない」と率直に認め、「われわれには革新的な対応が必要だ」と語った。