ウクライナ危機、円安、インフレ
住宅資材はさらなる高騰の恐れ
世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症の流行を「パンデミック」だと表明したのは2020年の3月のことだった。瞬く間に国際社会や経済を混乱に陥れたコロナ禍だが、少しずつ収束の兆しを見せつつある。その一方、ロシアがウクライナに侵攻、いまだ解決の糸口は見えていない。そして円相場は下落し、急激に円安が進む事態となっているのだ。円安が急激に加速する背景には、日本のある特殊な状況がある。
そもそもアメリカは、コロナ禍による景気の落ち込みに対応すべく金融緩和を進めてきた。しかし景気の回復に伴い、インフレ傾向が強まっていった。加えてウクライナ侵攻でエネルギーや原材料など物価が上昇、さらにインフレが進行していく。そこでこれまでの金融緩和策から一転、インフレを抑え込むべく金融引き締め政策へとかじを切ったのだ。イギリスも同様に政策金利の引き上げを決定している。
世界が金融引き締めへ向かう中、日本は現在の金融緩和策の維持を決めた。このままでは、日本と海外との金利差はどんどん開いていくことになるだろう。今後さらに、円安が加速することも考えられる。また、世界的な住宅需要の高まりや、コロナ禍による工場閉鎖の影響で木材が品薄になったり、半導体不足に陥ったりするなどの要因から建築資材も高騰。ウクライナ侵攻により、住宅に必要なさまざまな資材のさらなる高騰も危惧されているような状況だ。