長嶋 修
2026年4月1日、マンションの将来に関わる、ひとつの節目が訪れる。改正区分所有法の施行だ。マンションの寿命は、「コンクリートは100年持つ」という言葉に代表される、物理的な頑健さで語られてきた。しかし、その前提である維持し続けること自体が、住民の高齢化や資金不足といった運営上の課題によって揺らいでいる。維持もできず、建て替えもままならない「出口のないマンション」は、もはや他人事ではない。

梅雨こそ要注意!雨漏りで家の価値が激減する「絶対NGな5つの行動」とは?【専門家が解説】
今年も梅雨の足音が聞こえてきた。雨量が増えるこの時期、住まいの「雨漏り」は見過ごせない問題となりやすい。雨漏りと聞けば、天井からの水滴、床にはバケツ……そんな光景を思い浮かべる方も多いだろう。実は雨漏りは目に見えるケースだけにとどまらない。より深刻なのは、壁内部や屋根裏など目に見えない箇所で劣化が進み、気づかぬうちに耐久性や資産価値を大きく損なうおそれがあることだ。実際に、中古住宅の取引現場では、この「見えない」雨漏りの有無が、物件の評価や価格を大きく左右するケースも珍しくない。

住んだ瞬間に資産価値が3割減!?…「損する戸建」と「価値が残る戸建」の決定的な違いとは?
戸建住宅は自由度が高く、騒音や隣人などもあまり気にせず暮らすことができる。だがその一方で、資産価値の下落リスクといった課題もある。さらに、立地を見誤ると将来的に売却も難しくなる可能性も――。これからの“賢い家選び”で重要なポイントを紹介しよう。※本稿は長嶋修『2030年の不動産』の一部を抜粋・編集したものです。

修繕積立金が月1万円以下の「お得なタワマン」を選んだ人の悲惨な末路
マンションを選ぶ際、初期費用を抑えたいと考える人は多いだろう。しかし、その費用の中で「修繕積立金」が安く設定されているマンションは要注意だ。そういった建物は、老朽化した部分を修繕しなくてはいけないのに、積立金が足りずさまざまな問題が発生する可能性が高い。安心して住めるマンションを見つけるにはどうすればよいのだろうか。※本稿は長嶋修『2030年の不動産』の一部を抜粋・編集したものです。

ベランダの「茶色い筋」は要注意!絶対買ってはいけない「危ないマンション」の見分け方
マンションを買うときに見逃せないのが「管理の質」だ。共用部の綺麗さや、外壁のタイルの修繕状態、管理人の勤務体制などに、将来の資産価値にも直結する重大なサインが隠されているというが……。不動産のプロが、物件を買う時に見ておきたいポイントを解説する。※本稿は長嶋修『2030年の不動産』の一部を抜粋・編集したものです。

首都圏の大規模修繕工事における談合疑惑が表面化し、公正取引委員会(公取委)が約20社の施工業者に対し独占禁止法違反容疑での立ち入り検査に踏み切ったというものだ。この疑惑が事実であれば、将来の修繕資金の不足やマンションの資産価値低下など多方面への影響が懸念される。この一連の報道に対し、驚きや不安を感じつつ、事態を深刻に受け止めたマンション所有者も多かったはずだ。しかし、業界事情に詳しい専門家の間では、今回の公取委の動きは、むしろ「起こるべくして起こった」事態でもあったのだ。

2025年4月、住宅関連の法改正が施行され、建築確認の手続きから省エネ基準、太陽光発電の扱いまで、住まいに関わる複数のルールが更新される。これらの改正は、住宅の安全性向上や省エネ化を社会全体で促すものだ。影響の度合いは異なるものの、これから家を建てる場合や、大規模なリフォームを行う場合には、無視できない重要な変更点を含んでいる。

マイホームを持つことは多くの人にとって人生最大のイベントであり、まさに夢を形にするプロセスだ。その過程で、間取り、デザイン、使い勝手、住み心地といった目に見える要素に注意が集中してしまうケースも少なくない。しかし、「マイホーム」の夢を実現するためには忘れてはならない重要なポイントがある。それが、完成後には見えなくなってしまう「隠れた部分」の品質だ。一方で、新築住宅の建築現場では、大小問わず多くの「隠れた」施工トラブルがあるのをご存じだろうか。

マンション価格の高騰が続く中、特に都心部では「都心・駅近・大規模・タワー」といった物件がエリアの価格を牽引し、マイホーム購入のハードルは上がる一方となっている。その結果、予算と立地のバランスを重視する購入希望者の間で、「立地の良い」築浅中古マンションの人気が上昇傾向にある。確かに「立地」はマイホーム選びにおいて重要な要素には違いない。だが、立地を最優先にするあまり、他の重要なポイントを見落としてはいないだろうか。

建物の維持管理や良好な居住環境の確保を目的とし、マンションの資産価値を保つ上で重要な役割を果たす管理組合。近年、その運営に難を抱えるマンションが目立ち始めている。一部のマンションでは、老朽化や空室の増加、治安の悪化…といった問題が深刻化しているとも言われる。一方で、住民同士の活発な議論のもと、円滑な運営を実現している管理組合も存在する。この違いはどこから生まれるのだろうか。なぜ管理組合の運営が困難に陥るのか。5つの要因を明らかにし、それぞれの要因に対する具体的な対策をご紹介していく。

ライフスタイルの多様化に伴い、都市部の自宅と地方の別荘などの二拠点を行き来して暮らす「デュアルライフ(二拠点居住)」が注目を集めている。また定年後や仕事が一区切りついたタイミングで、都会の喧騒を離れ、静かな地方への移住を考えている方もいるだろう。具体的なエリアとしては、首都圏にも近い人気のリゾート地である箱根や那須、軽井沢、また、海辺なら南房総や茅ヶ崎、熱海あたりを連想する方も多いのではないだろうか。

皆さんは、不動産業界において長きにわたって慣習化していた「囲い込み」という言葉をご存じだろうか。他の不動産会社から紹介された買い主への物件紹介を「故意」に断ったり、他の不動産会社に物件情報を提供しなかったりと、「情報の独占」、つまり、物件の囲い込みが行われているのである。

マンション住民を直撃する「3つの値上げ」、管理組合がやるべき防衛策とは【専門家が解説】
物価の上昇が続いている。帝国データバンクによると、2024年10月に値上がりする食品は2900品目を超え、4月以来の大きな値上げラッシュが予定されているという。また食品以外にも私たちの生活に影響を及ぼすことは確実だ。さらに日本郵便でもこの10月、30年ぶりに封書の料金が値上げされる他、先発医薬品の一部でも負担増が予定されているのだ。

「価値が落ちるマンション」を見抜く、決算書の「3つのポイント」とは?【専門家が解説】
入居時にマンションがどれだけ素晴らしくても、その後の管理次第では居住快適性や資産価値を低下させることにつながりかねない。自分たちのマンションが適切に管理されているのか、その財務状況はどうなっているのかを知る手がかりとなるのがマンションで毎年開催される通常総会(定期総会)で作成される「(総会)議案書」と呼ばれる書類だ。総会では前年度の収支報告が行われるが、その際、議案書の資料として付される書類に「収支報告書」と「貸借対照表」がある。

「コスパがいい中古住宅」の見極め方、プロが教える2つの注意点とは?
人件費や建材価格の上昇などを背景に、住宅価格、中でも新築物件の高騰が続いている。そんな中、マイホームの新たな選択肢として注目を集めるのがリーズナブルな「中古物件」だ。価格はもちろんのこと、立地や生活環境、リノベーションやカスタマイズなど多様な可能性を秘める「中古」物件を選択肢に入れる消費者が目立つようになった。最近、さくら事務所でも「中古住宅の状態を詳しく確認するために、インスペクションを依頼したい」という相談が増えている。

「エアコンつけても暑い…」夏の室内を快適にする5つの方法とは?
全国的に梅雨入りが平年より遅れた今年。昨年同様、暑い夏になると予想されている。気象庁が6月末に発表した7~9月までの3カ月予報によれば、今後も高温の傾向が続き、長く厳しい夏になる見込みだという。太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が低下し、太平洋高気圧の北への張り出しが強くなる「ラニーニャ現象」の発生も指摘されている。

マイホームに関するさまざまな選択肢の中でも、最も迷うのが「誰に家づくりを依頼しようか」という点ではないだろうか。ハウスメーカーかビルダーか、それとも工務店か。住宅を建てる際に何を優先するかによって、選択肢は異なってくる。また一口に「ハウスメーカー」と言っても、全国的にも有名な大手から中堅どころの準大手まで、その幅は広い。予算や土地、建物へのこだわりなどをすり合わせて選ぶのが一般的だ。

自身の所有するマンションにどのくらいの価値があり、市場で取引される価格はどのくらいなのか。マンション価格が高騰を続ける昨今、自身のマンションの「現在価値」を知りたいと思うのは当然のことだ。どのような形でマンションの「資産性」を見極めればいいのだろうか。

インバウンド需要が今、再び活気を帯びている。日本政府観光局(JNTO)によると、2023年の訪日外国人旅行者数は2500万人余りとなり、新型コロナの感染拡大前、過去最高人数を記録した2019年の8割近くの水準まで回復しているという。さらに外国人旅行者が国内で消費した金額は約5兆2923億円となり、円安を背景にこちらも過去最高額となった。

最近、住まいの耐震性能、耐震等級にフォーカスを当てた「地震に強い家」「震度7に●回耐えられる家」というフレーズを聞く機会が増えたように思う。周知の通り、日本は災害大国だ。今年の元日に発生した能登半島地震では最大震度7を記録。多くの建物が倒壊、地域に深刻な被害をもたらした。ニュース映像などから伝わる被害状況に心を痛め、あらためて自然の力の大きさに思い至った方も多いだろう。2016年の熊本地震でも震度7を観測し、多数の木造住宅が倒壊している。耐震性能、耐震等級に注目が集まるのも、震災への備えとして「住まい」を強くしておく重要性が再認識されたためだといえる。
