期待される設備投資の拡大
望まれる投資促進策

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための制限措置の解除に加え、やや想定外だった部品の供給制約による下押しが解消に向かえば、経済の正常化の動きが意識されてくることも考えられる。企業が、経済の正常化に伴う需要拡大を見込み、一部先送りしていた投資に加え、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた投資を実行することも期待できよう。

 実際、日銀短観などで示されている設備投資計画は堅調なものとなっている。また、内閣府「企業行動に関するアンケート調査」での今後3年間、5年間の成長率予想が高まっているなど企業の「期待成長率」も上昇している。過去をみると、期待成長率の上昇は、GDP比を高めるかたちで設備投資の拡大につながっているケースも多い。

 部品の供給制約の影響で、日本経済は、足元で、ややもたつきをみせているが、供給制約の緩和が進む状況の下、経済の正常化を意識した設備投資の拡大も見込まれ、夏場以降は、堅調な推移が期待できるといえよう。

 また、設備投資のGDP比でみた拡大は、生産性上昇率の改善につながっていることが多い(図2)。先行研究によると、こうした生産性の向上は、実質賃金を引き上げ、経済活動の拡大をもたらすとされている。

 政府は、経済活動の正常化を促す各種「GoTo」事業などの需要喚起策の再開や、海外からの観光客の受け入れ拡大などを行う見通しだが、より長いタームを見据えた政策も求められよう。企業の設備投資拡大の素地がある状況の下、投資を実現させる投資促進策の実行が望まれる。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所 副所長 鹿野達史)

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