日本が抜けられない「悪い円安」の“袋小路”、金融政策より即効性のある打開策現下の円安の主な原因として考えられているのは、日米の金利差だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 ウクライナ問題などによるエネルギーや原材料などの輸入価格上昇を円安が加速する中、日本銀行は景気悪化を懸念して利上げができない状況だ。

 一時、約20年ぶりに130円台を付けた円ドル相場はこのところ少し落ち着いているが、アメリカのインフレ加速やFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ次第では、円安も物価上昇も止まらない状況に陥る懸念が指摘されている。

「袋小路」を抜け出すすべはないのか。

経済学の教科書通りの発想では
抜け出せない

 言うまでもなく、円安は輸出には有利に、輸入には不利に働く。

 現在、国内は、原材料費やエネルギー費などが高騰し、不況の中で物価が上昇する、いわゆる「スタグフレーション」の様相を呈しつつある中で、世界経済の低迷により輸出の拡大は見込めない。

 こうした中で進行する円安は、輸入財である原材料や資源・エネルギーの価格を押し上げる要因の一つとして、「悪い円安」として問題視されている。