まん防延長で高まる
マイナス成長リスク
日本経済は、新型コロナウイルスの感染状況と、感染抑制を目的とした政府の制限措置の変化に合わせ浮き沈みを続けている。今春以降は回復するとの期待も増えていたが、こうした見方に修正を迫るのが、ウクライナ危機だ。
昨年9月末に、感染拡大防止のための緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の適用が全面解除されたことを受け、21年10-12月期の実質GDP成長率は、4.6%(前期比年率)成長となった。しかし、新規感染者数が増加に転じ、22年に入ると、政府がまん延防止等重点措置の適用を再び開始し、日本景気はサービス消費を中心に弱めの動きとなっている。
政府は、22年1月9日から広島、山口、沖縄の3県を対象に重点措置の適用を開始し、その後も対象を広げ、2月12日には、36都道府県への適用となった。重点措置の適用対象となった都道府県の経済規模は、全国に対して当初4%程度だったが、2月12日には91%強まで拡大した。
重点措置の適用や対象の拡大で、人出は減り、外食、旅行、娯楽などのサービス消費は落ち込んでいる。日本銀行が推計する消費活動指数のサービス消費は、21年10月以降の増加が止まり、1月は前月比で4%以上、落ち込んでいる。
サービス消費と連動する人出の動きをGoogle「コミュニティ モビリティ レポート」でみると、「小売・娯楽施設へのヒトの移動」は、1、2月に大きく落ち込んでいる。
2月21日以降は、重点措置の対象が縮小し、人出も若干増え、3月には人出が小幅ながら増加し、サービス消費の落ち込みに歯止めがかかっていることが見込まれる。しかし、四半期でみると、1-3月期のサービス消費は、前期比で大幅減になるとみられる。21年10-12月期の高成長から一転して、22年1-3月期はマイナス成長となる可能性もある。