ウクライナ問題の地政学リスク
「マクロ・ファクター」に変質
ロシアがウクライナに侵攻してから3カ月以上が経過、戦況は泥沼化した感が強く、世界経済や国際資本市場の荒れ模様も一向に晴れそうにない。
そこには、各国の政治指導者や政策担当者らあらゆる当事者が一様に「大きな計算違い」をしたという、国際政治・国際経済・国際金融すべてにおける質的低下も読み取れる。
今回の地政学的変動は、その世界的な読み間違いを通じて影響が一気に増幅されたように思われる。
経済の面でも、エネルギー価格の継続的な上昇やグローバリゼーションの後退などを進め、世界経済に高インフレを定着させる要因になった。
事態悪化を増幅した
為政者のさまざまな「計算間違い」
最大の計算違いを犯したのがプーチン大統領だったことは明白だ。
軍事侵攻開始後、数日で首都キーウを制圧、ゼレンスキー政権に代わる親ロシア政権を作る早期決着をもくろんでいたようだが、予想以上の苦戦を強いられて、何度も戦術の軌道修正を行わねばならなくなった。