「人の笑いのタイプは5種類に分けられます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験から、人の笑いの取り方は「5つ」に分類できると断言。自分がどのタイプかがわかれば、コミュニケーションはもっと上手くいくのだという。その「お笑いタイプ」の解説・診断方法を知れる、芝山氏初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が6月1日に刊行された。タイプ診断だけではなく、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。本書の発売を記念し、今回はその一部を特別に公開する。
人の「笑いの取り方」は5つに分類できる
ネタのゴーストライターとして、300組以上、さまざまな芸人の「キャラ分析」をしているなかで、僕自身、大きな収穫がありました。人の「お笑いタイプ」は、大きく5つに分類できることがわかったのです。
①むじゃきボケ……とにかくボケまくる、お調子者
②MCツッコミ……場をしきり、まわりに的確にツッコむ仕切り屋
③イジられツッコミ……イジリへのリアクションやツッコミで笑いを取る愛されキャラ
④天然ボケ……意図せずに笑いを起こす“お笑いモンスター”
⑤癒し……いるだけで心やすらぐマスコットキャラ
おおまかに自分がどのタイプかがわかると、自分に合った笑いの取り方やコミュニケーションの仕方がより明確になります。今回は、「MCツッコミ」タイプについて詳しく解説していきます。
責任感ある、親分肌!「MCツッコミタイプ」とは?
自分がボケたり、積極的に話すのではなく、聞き手としてツッコミやリアクションで笑いを取る。それがMCツッコミタイプです。ダウンタウンの浜田さんや千原ジュニアさんなど、テレビ番組でMCを担うような人がこのタイプに当たります。
MCツッコミタイプは、俯瞰力にすぐれていて、違和感に気づくことに長たけています。また、場の空気を調整するリーダーシップも兼ね備えています。いわば「仕切り役」「まわし役」としての能力も高いのがMCツッコミタイプです。
MCツッコミタイプの特徴は以下の通りです。当てはまるものが多い人は、その可能性が高いでしょう。
●人に話を振ったり、人を動かしたり、場をコントロールしたりするのが好き、得意
●広い視野をもち、場の違和感に気づきやすい(あまり話していない人がいるなど)
●目上の人にも物怖じせず、どんどんツッコミを入れられる
●責任感があり、後輩にもしっかり注意できる
●リーダーやキャプテンに向いている親分肌
●嫌なことが起きても引きずらず、切り替えが早い
●自分が仕切っていない場ではストレスを感じることがある
ダウンタウン浜田雅功/千原ジュニア/くりぃむしちゅー上田晋也/ネプチューン名倉潤/霜降り明星粗品/ロンドンブーツ1号2号田村淳/サンドウィッチマン伊達みきお/かまいたち濱家隆一/千鳥ノブ/有吉弘行/ナインティナイン矢部浩之
ツッコミタイプは「話を聞く側」で自分を生かせる
MCツッコミタイプは、基本的には人の話を聞く側・話を振る側にまわることが大切です。このタイプが、おもしろくなろうとしてボケたり、自分のトークで笑いを取ろうとしても、無理をしている感じが出てウケないケースがよくあります。
話を冷静に、客観的に聞き、非常識な部分やおかしな点を見つけて、それにツッコんで笑いに変えていく。そんな立ち振る舞いが自分のキャラを生かす方法です。
とくに、ボケてくれるタイプと相性が良いので、ボケタイプに積極的に話を振ると、ツッコみどころが生まれて自分が生きやすくなります。
拙著『おもろい話し方』では、5つのお笑いタイプの解説に加え、自分のタイプを把握できる「タイプ診断シート」も用意しました。自分のタイプがわかれば、おもしろい人にさらに近づけます。コミュニケーションも人間関係も、もっとうまくいくようになるでしょう。ぜひ参考にしてください。
(本原稿は、芝山大補著『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』からの抜粋です)
芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売即重版が決まった初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。