「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が6月1日に刊行された。「初対面でも会話が続く人がやっていること」「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「好かれるリアクションの極意」「すべらない話の作り方」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。本書の発売を記念し、その一部を特別に公開する。

あなたはやってない?「つまらない人」認定されるNGな話し方Photo: Adobe Stock

聞き手が飽きてしまうNGな話し方とは?

 相手の心に響く、おもしろい話ができる人とそうでない人との違い、その一つが、話に「自分の感情や気持ち」を取り入れているかどうかです。

 トークの際、多くの人は「描写」を中心に語ります。しかし、描写ばかり聞かされていると、話が単調に聞こえ、退屈してしまいます。小説も、そこに登場人物の感情や気持ちが入ってくるからこそ楽しく読み続けることができるわけです。話をおもしろくしたいときも、これと同じです。そのときの自分の感情や気持ちを言葉にし、取り入れてみましょう。

 ちなみに、小籔千豊さんはその最高のお手本です。たとえば、小籔さんの有名なエピソードトークに「吉本新喜劇の竜じい」という話があります。小籔さんの母親が亡くなった翌日、新喜劇の先輩の竜じいにそれを伝えたところ「じつは最近うちもネコが死んで……」と言われたというエピソードです。

 そこで小籔さんは、「はぁ? こいつマジかよ」「なんぼなんでも、自分のとこで飼ってた猫と人のオカン一緒にするか?」「なんじゃコイツ!」など、先輩に対して納得できない気持ちを話に織り交ぜ、笑いにつなげていました。

(本原稿は、芝山大補著『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』からの抜粋です)

芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売即重版が決まった初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。