「年収200万円暮らし」炎上の裏で、最低賃金1000円の公約もみ消す自民党の二枚舌写真はイメージです Photo:PIXTA

「最低賃金1000円」という言葉が
自民党の公約から消えた

 世界各国で着々と賃上げが進む中、日本だけで賃金の横ばいが30年続き、ついには平均給与で韓国にまで抜かれてしまった。さらに、「年収200万円で豊かに暮らす」という書籍タイトルも炎上したことも受けて、「なぜ日本の賃金はいつまでも上がらないのか」という議論が活発に行われている。

 その「答え」がつい先日、これ以上ないほどわかりやすい形で国民に示された。6月16日に発表された、自民党の参院選公約である。

 6年前から参院選のたびに掲げていた「最低賃金1000円」という数値目標がしれっと引っ込められたのだ。野党の多くは「1500円」など数値目標を掲げているのに、自民党はサクッともみ消したのだ。

 岸田政権は「最低賃金1000円の早期達成」を打ち出している。6月7日に発表した「新しい資本主義実行計画工程表」の中にも、表の「枠外」ではあるが、「できる限り早期に全国加重平均が1000円以上となることを目指す」とちゃんと明記されている。にもかかわらず、岸田首相が総裁を務める自民党ではスルー。なぜこんなダブルスタンダードが起きるのか。