一年を占う上で毎年注目を集める百貨店の初売り商戦だが、特に今年は注目される。というのも、2012年は、長らく低迷が続いてきた百貨店業界全体の売上高が16年ぶりに前年を上回ったことが確実だからだ。それが1年の特殊事情だったのか、それとも市場は底を打ったのか。見極めるためにも13年は重要な年となる。

 1月1日早朝。例年ではあり得ない光景が東京・池袋駅の目の前にあった。西武百貨店池袋本店前に、2万人が並んでいたのだ。

 バブル経済が崩壊するまで、大手百貨店の初売りは3日からだったが、十数年前から、2日開始へと前倒しされていた。長らく2日で定着していたが、今年、そごう・西武がその慣例を破り、元日から営業を始めたのだ。

 百貨店業界関係者は「2013年の初売り商戦は前年や他社と比較しにくい」と口をそろえる。曜日の関係で、12年は商戦が実質的に1月4日で終わったが、13年は6日までと期間が長くなったことが理由の一つだ。

 また、大手百貨店の経営が横並びから脱し、独自色を出し始めたという事情もある。それを端的に表しているのがそごう・西武のセールの前倒しだ。同社は、セブン&アイ・ホールディングスの傘下に入っているが、グループのイトーヨーカドーやセブン-イレブンは元日から営業している。

暦の関係で1~6日の売上高前年比は大手のほとんどがプラスだった。ただし、一部では福袋の低価格化や実用品ばかりの福袋が人気になるなど、中身は変化し始めているという。
Photo:JIJI

 元日から消費者の需要があることがわかっているのに、「百貨店だけがそれを無視するわけにはいかない」(そごう・西武関係者)と判断し、全店で元日開店に踏み切った。大手流通グループに入ったからこそ、業界の常識を破れたのだ。

 池袋本店では、1日は開店前から2万人が並び、40万人が来店。昨年の初日である2日と比較すると、客数こそ同程度だが客単価が上がったため、売上高は20%以上増加したという。想定外に売れたのが地下の食品で、1日は昨年の初日と比較すると売上高40%増だ。そごう・西武は来年以降も1日からの営業にするという。