合コン用のファッションをゲットし、新しい出会いを求めておしゃれなカフェバーなどに赴く。夢が膨らむ「デパコン付きコラボ福袋」(写真はイメージです)

 師走に入り、寒さも一段と厳しくなってきたが、いよいよ年末年始までカウントダウンという慌ただしい季節になった。来たる2013年は明るい1年になってほしいと願うばかりだが、お正月の楽しみの1つに「福袋」がある。

 さてこの福袋、2013年新春版にはある特色があるという。これまでは、衣類や雑貨など、「モノ」が中心であったが、今後のお正月の福袋は「体験型」が増えているというのだ。

 たとえばユニークなのが、三越伊勢丹。人気キャラクター『うちのタマ知りませんか?』の漫画に、家族で登場できる権利(3万円)がある。さらには、新潟県南魚沼市の田んぼを1年間借り上げて、米づくり体験できるもの(60万円)もあり、プチ農業を愛好する都市部の住民に、大きくアピールしそうだ。

 また松屋では、昨今ブームを呼んでいる「イケダン」(=家事・育児にも積極的に参加する、イケてる旦那)をターゲットに、「イケダン福袋」(5万円)を用意し、ジャケットやエプロンなど11点を販売。彼らが家事に勤しむシーンを演出する。

 東武百貨店はヘビ年にちなんで、「東武動物公園・幸運を呼ぶビルマニシキヘビ コウくんまたはフクちゃんとふれあえる&飼育員体験福袋」と銘打った新春福袋を販売予定。これはなんと、ビルマニシキヘビと触れ合い、写真撮影を行ったり、キリンやカバへの餌やりに加え、象の宿舎の清掃など貴重な体験ができるというもの。チャリティとして2013円寄付した人の中から、抽選で2家族が参加できる。

 そして極め付けは、次の「合コン」付き福袋であろう。阪急メンズ東京とプランタン銀座は、両店内のカフェを会場にした「デパコン付きコラボ福袋」を販売。合コンにぴったりのファッションをセットで提案して提供するものだが、コーディネート一式にデパコン参加券を加え、2万1000円とお得な価格となっている。

 男性向けを阪急メンズ東京、女性向けをプランタン銀座が担当する形だが、銀座という大人の街を舞台に、華やかな恋がいくつか誕生するかもしれない。

 このように2013年福袋は、家族やカップルなどに焦点を当て、記憶に残る非日常的体験を醸成するタイプのものが充実している。「夢を提供している」とも言い換えられるだろう。これは、東日本震災以降の日本人の「絆」意識の高まりと無関係ではないだろう。

 人々の「モノ」への執着がさらに薄まり、「コト」や「体験」へシフトしていることの証左ではないだろうか。

(田島 薫/5時から作家塾(R)