Photo by Ryosuke Shimizu
年明け早々の新聞紙上で、阪急阪神ホールディングスが大阪梅田駅前の阪神百貨店を建て替える方針を固めたと報道された。
現状では、阪急阪神ホールディングスも、阪神百貨店と阪急百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリングも、立て替えの計画は全くの白紙だとしている。事前の準備として、大阪市に容積率の緩和などについて書面を提出した段階にすぎないという。
阪神梅田本店の向かい側の阪急うめだ本店は長い改装期間を経て、2012年11月に新装開店したばかり。その阪急と比べると、「阪神は駅の上にたっている。また、立地の条件から、自治体などとの話し合いが必要になる。阪急の建て替えの時のように、百貨店側の意見がすんなり通るとは思えない」(阪急関係者)との声も聞こえてくる。
しかし、百貨店業界関係者の間では、早くも、立て替え後の姿について憶測が飛び交っている。
何しろ、梅田駅周辺は、全国でも屈指の百貨店・商業施設の激戦区。阪神、阪急に加えて、目と鼻の先に大丸梅田店が、さらにJR大阪駅を挟んだ反対側には、JR大阪三越伊勢丹と、商業施設のルクアが並ぶ。
供給過剰とも指摘されているから、立て替えともなれば、業界の注目が集まるのは当然といえる。そして、建て替え後の姿を予測するための判断材料がいくつかある。
道路を挟んで位置する阪急と阪神は、もともとライバルの百貨店だったが、投資ファンドの村上ファンドによる阪神電気鉄道株買い占めに対抗するために親会社が経営統合したことで、現在は同じエイチ・ツー・オーリテイリング傘下にある。
阪急はファッション性が高い品揃えで、顧客の所得も比較的高いとされ、一方の阪神は庶民層に強い。そのため、棲み分けが可能と言われてきた。
ところが、阪急が昨年11月に新装開店すると、阪神はその影響をもろに受けてしまった。12月の売上げが、阪急が前年比140.7%だったのに対し、阪神が91.7%だったのだ。