有名な香港の水上レストラン「ジャンボ」が6月14日に閉業。曳航(えいこう)されている途中の20日に海に沈んだというニュースが世界中に配信された。当然香港国内でも大きな話題になったのだが、「転覆はしたが沈没ではない」「保険金目当ての故意の事故」など情報が錯綜(さくそう)しており、真相は藪の中。さらに沈没以降、香港はネガティブな話題続きなのである。(フリーライター ふるまいよしこ)
1997年に香港が中国に返還されてから今年で25年
7月1日、香港が英国から中国に主権返還されて25年を迎えた。記念式典の様子や習近平・国家主席が香港入りしたことは、すでにニュースなどで目にした方も多いはずだ。
清朝政府によって香港島が最初に英国に割譲されたのは、第一次アヘン戦争後の1842年のこと。さらに1860年には中国大陸の先っぽにある九龍半島を割譲し、1898年に深セン河から南の地域(新界地区)と海上に浮かぶ200を超える島を99年の期限付きで英国に租借した。
香港の主権が返還された1997年というのはつまり、この3段階の割譲、割譲、租借のうち、新界地区の租借期限に当たる。1970年代にその期限が近付いたことに気がついた英国政府が、今後の香港の開発計画を進めるにあたり、その租借延長を中国に持ちかけて始まったのが中英交渉だった。だがその結果、とっくに譲り受けたはずの香港島や九龍半島まで「返還」することに合意した中英共同宣言が1984年に結ばれると、香港は大恐慌に陥り、土地や株式は大暴落し、史上初の移民ブームが巻き起こった。