空飛ぶ電動タクシーの夢は、常にバッテリーの現実に悩まされてきた。実現の難しい壮大なプロジェクトに投じる資金は枯渇しており、投資家は未来の技術よりも現在の技術に目を向けた方が賢明かもしれない。電動垂直離着陸機(eVTOL)を手掛ける英スタートアップ企業バーティカル・エアロスペースは、同社のモデル「VX4」向けのバッテリーを台湾の電池メーカー、モリセルから調達する。これは今まで報じられていなかった動きだ。モリセルは既に、バーティカルが使用するリチウムイオン電池の試作品を製造している。受注に対応するため、新たな大規模工場を開設するほか、リチウムやグラファイトなどの主要原料も確保したとしている。eVTOLプロジェクトにとって、バッテリーが重要な障壁であるとの認識を投資家は強めている。eVTOLメーカーは生産開始のめどを2025年以降に定めているが、この過度に野心的な目標は、サプライチェーン(供給網)の混乱で脅かされている。スタートアップ企業は、資本市場がもはや融資をしたがらないような想像上の未来のバッテリーを待つよりも、市販のバッテリーを使う方が生き残れそうだ。
空飛ぶタクシー会社、バッテリーが存続のカギ
電動垂直離着陸機の実現には現在の電池技術に目を向けるべき
有料会員限定
あなたにおすすめ