ダイヤモンド決算報#生命保険業界Photo:JIJI

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は第一生命ホールディングス、かんぽ生命保険、T&Dホールディングスの「生命保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

不祥事の「みそぎ」を終えても
かんぽ生命の減収は止まらず

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生命保険業界の3社。対象期間は2022年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・第一生命ホールディングス
 増収率:マイナス7.5%(四半期の経常収益2兆5360億円)
・かんぽ生命保険
 増収率:マイナス1.6%(四半期の経常収益1兆6332億円)
・T&Dホールディングス
 増収率:45.7%(四半期の経常収益9282億円)

 生命保険業界の3社では、T&Dホールディングスが4割超と驚異的な四半期増収率を記録した。その一方で、第一生命ホールディングスとかんぽ生命保険は減収となった。

 このうち、かんぽ生命保険が最後に四半期増収(前年同期比)を達成したのは19年1~3月期(19年3月期第4四半期)であり、そこから実に12四半期連続で減収が続いている。

 かんぽ生命保険の長期的な不振の背景には、19年に発覚した「不適切販売問題」がある。不祥事の「みそぎ」として同年7月から約2年弱にわたって営業活動を自粛し、21年4月に本格的に再開したが、その影響は業績にどのように表れているのか。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、かんぽ生命保険の現状について詳しく解説する。