高市早苗首相8月15日、高市早苗首相の靖国参拝は本当に「見送り」なのか? Photo:JIJI

支持率が低下する中、高市早苗首相は今後、靖国神社参拝に踏み切るのか。過去の発言や保守層との関係、日中関係、トランプ政権下の外交環境を読み解くと、その選択が持つ政治的な意味が浮かび上がる。高市首相にとって靖国参拝が「人気回復の一手」になり得るのか、3つの理由から検証する。(ノンフィクションライター 窪田順生

「被災地PV」でまた炎上
負のスパイラルに陥る首相

 やることなすこと叩かれる――。歴代首相に引導を渡してきた「負のスパイラル」に、高市早苗首相もついにハマってしまったようだ。

 きっかけは首相官邸がSNSに投稿した、高市首相の「被災地視察動画」である。

 ご覧になった方はわかるだろうが、首相がヘリコプターから被災地に手を合わせたり、被災者らの話を聞いたりする映像に、ピアノのBGMがつけられてPV(プロモーションビデオ)風の編集がなされたものだ。実際の面会で被災者らは車中泊の苦労や病院での困り事などを首相に訴えていたのだが、そういうシーンはチョキンと割愛されていた。

 これに「首相が主役のPV」「災害の政治利用」などと批判が殺到。ちょっと前にボロカスに叩かれた「寝てないアピール」に続いて、「被災地で頑張る私アピール」に不快感を示す人が続出している。

 さらに、これが鎮火しきらないうちに今度は広島・長崎での被爆地訪問が炎上してしまう。

 長崎の記念式典におけるスピーチで歴代首相を踏襲して「非核三原則を堅持しており」と述べた。これまでの首相は「堅持しつつ」と将来の方向性を示してきたのに対して、現状説明のみの表現だと地元マスコミなどから指摘が入った(8月9日 テレビ長崎)。年末に控える安保3文書に絡んで非核三原則の見直しをする伏線ではないかと解釈する人もいる。

 また、長崎で被爆者団体の代表者らと面会をした際の「態度」や「目つき」が悪いとSNSで炎上。石破茂前首相や岸田文雄前首相も同じような振る舞いだったので気の毒だという意見もある。しかし、「オニギリの食べ方が汚い」という個人的感想によって「日本の恥」などと人格攻撃されるのが内閣総理大臣なのでしょうがない部分もあるのだ。

 ただ、高市首相からすれば「しょうがない」で済まされる話ではない。この悪い流れを一刻も早く断ち切って、半年前のような「国民的人気」を回復させないと、これまでの短命首相と同じく、自民党内で「高市おろし」が始まってしまうからだ。

 では、この状況を打破する策はあるのか。これまでの政治スタイル、首相を取り巻く環境などを総合的に判断すると「靖国参拝」しかない、と個人的には考えている。