米金融大手JPモルガン・チェースは守勢に回っているように見えるかもしれないが、今でも多くのことが思い通りに進んでいる。同社の4-6月期(第2四半期)決算は、収入が小幅増となったものの、純利益は前年同期比で30%近く減少した。費用が増えたという面もあるが、貸倒引当金を戻し入れた前年同期から一転して貸倒引当金を積み増したことが響いた。これは主に貸し出しが大きく伸びた結果だった。貸し出しの四半期平均が前年同期比で7%も増えれば、貸出利益と理論上の損失も増える。ただ、貸倒引当金の積み増しは「経済見通しがやや悪化した」ことも反映しているとJPモルガンは述べた。この発表を受けて投資家が警戒を強め、14日午前にJPモルガン株の下落率が4%を超えたことは想定の範囲内だった。だが、同社のコメントが全くと言っていいほど悲観的でなかったことには留意する必要がある。JPモルガンは、個人の所得以上に消費が伸びたことで、全所得層の個人預金残高の中央値が、新型コロナウイルスの流行開始以降で初めて減少したと述べた。それでも、個人の手元資金はなお高水準で、不況時の衝撃を十分吸収できるとした。また、インフレが進む中でも個人は裁量支出を増やし続けている。非裁量支出、特にガソリン支出が増えているというのにだ。同社によると、ガソリン支出の前年比の伸びは、旅行・外食支出の伸びとほぼ一致した。