ビジネスパーソンの悩みの多くは人間関係に由来するものではないだろうか。現在、この問題をはじめ、仕事にまつわる多くの悩みを圧倒的な説得力をもって解決することで人気なのが、プロデューサー・佐久間宣行さん初のビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』だ。この本はSNSで「働くすべての人に読んでほしい」「人生の教科書にします」と絶賛コメントが多数寄せられている。ここでは本書から佐久間氏が提唱する仕事術の一部をお届けする。(初出:2022年7月23日)
「正論」は嫌われる
「正論」は、まっすぐ吐くと、たいていは嫌われる。
だから言いたいことがあるときは、伝え方に気をつけよう。
コミュニケーションは「最短距離」より「平らな道」を行くことだ。
相手を不機嫌にしても得はない
論理的に正論を言うと、どうしても会社や相手の否定になったり、「あなたよりわかっている自分」を演出することになる。
目の前の人を不機嫌にして得をすることなど一つもない。
じゃあ、どうすればいいか。
会社や上司の方針とぶつかりそうなとき。
そんなときは自分を下げよう。
失敗を糧にする
僕は深夜番組や子ども番組でそれなりの実績を上げた30代半ば、テレビ局の花形とも言えるゴールデン番組への打診を何度か受けた。
評価してもらえるのはありがたい。
けれど、そのたびに断った。
会社の生態系で言えば、視聴率を稼げるどまんなかの番組をつくる人ばかりでなく、変わった番組をつくれる人もいたほうがいいと思ったからだ。
でもわかってもらえず、会社とは何度もケンカした。
ただこれは僕が悪かった。
「誰でもつくれる番組より、僕にしかできない番組をつくったほうが会社の利益になりませんか?」
と、自分を抑えずどストレートに伝えたからだ。
会社とケンカしない
すると、過去のゴールデンをつくってきた人たちはメンツを潰され、「やりたいことだけやる言い訳をするな!」と怒る。
泥仕合だ。
でも、あるとき気がついた。
こんな態度じゃ、いつまで経っても会社と仲良くできない。
そこで、言い方を変えることにした。
「僕はゴールデンの番組をつくるのが苦手なんです。全然、企画を思いつきません。だからそれは得意な方にやっていただいて、僕は自分なりに精いっぱい、会社に貢献できる仕事をさせてもらいたいです」
言っていることは同じだけれど、それ以来、パタッと打診は止んだ。
ほんとうになにも言われなくなった。
選んで悪路を走らない
正面突破で衝突することも悪いわけじゃない。
でもそれはデコボコだらけの悪路を走るようなもの。
物事を前に進めるにはやや効率が悪い。
一方、意見を戦わせることなく「会社のため」と「自分の未熟さ」を伝えると、それだけで一本道が舗装される。
燃料補給地(協力者)も増える。
目的地に、スムーズにたどり着けるのだ。
自分を捨てきれない状態で「俺」を打ち出して戦うとロクなことがない。
相手のメンツを潰した瞬間、自分の可能性も潰されてしまうのだ。
(『佐久間宣行のずるい仕事術』より)