ハイテク世界最大手の各社は必ずしも資金繰りに苦労しているわけではない。だが、景気後退の影が迫る中で、最も十分な資金力を持つ企業であっても、支出を警戒する強いモチベーションがある。マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、グーグルの親会社アルファベット、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズはいずれも雇用のペースを落としつつあり、マイクロソフトは少数の従業員を解雇し始めている。アップルもこれに続く可能性がある。ブルームバーグ通信は18日、アップルが来年の雇用と支出の伸びを減速させる計画だと報じたのだ。このニュースにより、アップルの株価は同日終値で2%超下落し、影響は市場全体に波及した。アップルは実際、直近の会計年度末(2021年9月)時点でフルタイム従業員数が15万4000人と、ハイテク大手の同業他社より抱える労働力は小さい。さらに増員にはこれまで比較的慎重だった。アップルの過去4年間の従業員数増加率(年平均)は6%と、マイクロソフトの10%、アルファベットの18%を下回っている。アマゾンは、既に巨大な配送網をさらに拡大する中で、過去4年間の従業員数増加率が31%で、100万人以上を増員したことになる。だが現在、アマゾンは急ブレーキをかけている。電子商取引(eコマース)事業の売り上げが低迷し始めるというタイミングで、これまでの拡大路線による余剰人員が生じたからだ。