FRB来年利下げ転換か Uターン予想の現実味Photo:Horacio Villalobos/gettyimages

 ウォール街では足元、年内いっぱいは米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを継続するものの、その後の半年で一転して利下げに着手するとの見方が広がってきた。

 背景には、FRBがインフレ退治を進める中で、米経済がリセッション(景気後退)入りするとの観測が高まっていることがある。同時に、長期金利を下押しすることで、景気後退が近く起こる可能性はやや後退しているようだ。これは早々に利下げに転じることはないとの従来の見立てと比べて、株式などリスク資産には追い風となっている。

 投資家の短期金利見通しは、米国債利回りの水準に大きな影響を与える。債券利回りは経済全般で借り入れコストの下限を形成するため、利回りが上昇すれば成長を阻害し、下がれば成長を後押しする構図だ。

 現時点で投資家は総じて、金利がインフレ退治を阻害しているのではなく、寄与しているとみているようだ。FRBが年内利上げを継続するとの見方を背景に、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現時点で1.5~1.75%であるにもかかわらず、償還期間が1年の債券利回りは約3%の水準をつけている。

 だが、FRBが来年半ばまでに利下げに転じるとの見方から、米国債利回りは1年物から10年物まで段階的に下がっている。10年債利回りは22日、2.781%と5月27日以来の低水準で終えた。