ロシア人は菜園で自給 制裁下のインフレ対策ロシアのエストニアとの国境に近いプスコフ近郊にある別荘の温室で作業をするクセニヤ・アブラモワさん PHOTO: THE WALL STREET JOURNAL

 クセニヤ・アブラモワさん(43)と母親は毎週末、白いふわふわの毛に覆われた大型犬のサモエドと6匹の猫を車に乗せ、サンクトペテルブルクから5時間かけて家族の庭をいじりにやってくる。そこで年内分の果物や野菜、ナッツを栽培するつもりだ。

 多くのロシア人同様、アブラモワさんも、ウクライナ侵攻後の制裁措置による高インフレや食料供給途絶の可能性に対応しようとしている。「何もかもがばかばかしいほど高い。大惨事だ。だから夜明けから夕暮れまで庭を耕している」と話す。

 ロシア人の家庭では、夏は緑豊かな田舎の別荘で過ごすのが恒例だ。今年は、食料価格の高騰を相殺するために庭いじりをする人が増えている。6月の食料価格は前年同月比19.1%上昇した。同48%上昇した砂糖や28%上昇したパスタなど、一部の商品の価格はさらに上昇している。

「ロシア市民、特に古い世代の人たちは、長年さまざまな激動の連続を生き抜いてきており、自らのリソースを頼りに苦難を乗り切れることに、一定のプライドを持っている」。米ウィリアムズ大学の社会学者オルガ・シェフチェンコ氏はこう話す。