安倍氏なき日本、重要性増す米中とのバランスPhoto:SOPA Images/gettyimages

――筆者のリチャード・J・サミュエルズ氏は、マサチューセッツ工科大学国際研究センター所長。著書に「特務(スペシャル・デューティー) 日本のインテリジェンス・コミュニティの歴史」がある

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 安倍晋三氏は、日本の外交・安全保障政策にこの半世紀で最も野心的かつ大きな変化をもたらした人物だ。2006~07年、さらに2012~20年に首相を務めた同氏は、7月8日に暗殺された。首相在任中、日本の安全保障において、先手を打って行動する姿勢を「安倍ドクトリン」で明確に打ち出した。だが、同氏の主要な目的の1つは達成されなかった。1947年に日本が米国に押しつけられた憲法の第9条(いわゆる平和条項)を改正できなかったことだ。そこには戦争放棄、および国の主権としての「戦力」の不保持が定められている。