10日投開票の参院選で街頭演説していた安倍晋三元首相(67)が銃撃され死亡した事件を受け、二之湯智国家公安委員長は12日、警護警備態勢の検証を指示した。11日には松野博一官房長官が記者会見で「警察庁から『今回の警備には問題があったと認識している』との報告があった」と明らかにした。警護対象者の至近距離に容疑者の接近を許した上、察知した後も何ら対応できなかった前代未聞の大失態。時間の経過とともに見えてくるのは、プロとは思えない杜撰(ずさん)さばかりだ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
やすやすと接近許し
発砲音にも対応できず
マイクを握る安倍元首相と車道を隔てた十数メートル離れた場所に、マスクとメガネを掛けた山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=がいた。いつの間にか安倍元首相の背後に手製の銃を持って近づき、約7メートルから1発目、さらに接近して約5メートルから2発目を発砲した。空振りの1発目と、安倍元首相の致命傷となった2発目の間には、3秒間の間があった。
これが現時点で奈良県警を通じて警察庁と国家公安委員会を経由し、首相官邸に報告されている内容だ。