台湾出身の半導体魔術師、中国の業界制覇の野望牽引Photo:VCG/gettyimages

 2015年、韓国のサムスン電子が世界最高水準の半導体を開発したとの報道にハイテク業界は衝撃を受けた。

 今年の夏、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)も半導体開発で大きく飛躍したという情報が流れ、業界の話題を集めている。

 この二つの出来事を結び付けているのは梁孟松氏(70)だ。半導体業界では伝説的なエンジニアだが、業界の外ではその存在はほとんど知られていない。

 梁氏は、サムスンの半導体開発における躍進を主導し、現在はSMICの上海事業を統括している。以前は、アップルなど電子機器の世界的なブランドにとって最も重要なサプライヤーの一社である台湾積体電路製造(TSMC)の隆盛を支えた立役者の1人でもあった。

 梁氏は特別な才能を持った「半導体の魔術師」のような存在であり、負け組をチャンピオンに変える能力がある。同時に、同氏を知る人たちによると、彼は頑固な面を持ち、対立を引き起こし、企業を離れてフリーエージェントとなってしまう傾向がある。