米中対立で変わる気候問題、消える「協力」の象徴中国江蘇省連雲港の連雲港港、石炭の山を動かす重機 Photo:VCG/gettyimages

【シンガポール】ナンシー・ペロシ米下院議長が今月台湾を訪問したことに中国が反発し、地球温暖化対策を巡る米国との協議を打ち切ったことで、気候政策が米中間の新たな争点に急浮上してきた。

 インド太平洋地域における対立、民主主義的価値観と専制主義の衝突、半導体の覇権争いなど、米中関係に影を落とす多くの問題の中でも、台湾はもともと米中関係にとって難題となっていた。だがペロシ氏(民主、カリフォルニア州)が中国政府の警告を無視して訪台する前は、世界最大の温室効果ガス排出国である米中の関係が悪化する中でも、気候変動対策は協力が期待できる数少ない分野だった。