バイデン大統領「インフレ抑制法」に署名をし、記者会見に臨むバイデン大統領(8月16日) Photo:Kent Nishimura/gettyimages

インフラ建設、許認可に長い時間
「政府の機能不全」が政治の焦点に

 米国では民主・共和両党の党派対立による「政治の機能不全」が指摘されてきたが、もうひとつの機能不全が、政治が決めた政策を政府がなかなか実行できず実現までに時間がかかってしまう「政府の機能不全」だ。

 長年の米国の課題とされてきたインフラ強化で、いくら予算を確保しても、許認可に時間がかかり過ぎて建設が進まないのはその典型だ。

 こうした「政府の失敗」は、徴税や医療などの面でも起きており、1980年~90年代の約4倍に達しているとの指摘もある。

 インフラ投資や教育・子育て支援、脱炭素化などを政府主導で進めようとしているバイデン政権にとっては、その解消が大きな課題だ。

突然復活したバイデン公約
許認可手続き緩和で“裏取引”

 バイデン大統領が大統領選で掲げた公約など、政権の主要な政策課題実現のために制定を目指していた「インフレ抑制法案」が、8月12日までに上下両院でようやく可決された。

 一時は可決が絶望視されていた法案の可決にこぎ着けた「逆転劇」の裏にも政府の機能不全問題が絡んでいる。