米国で夏がまだ終わったわけではないが、国内の天然ガス備蓄量を見ると、身も凍る思いがする。冬に天然ガス価格が急騰する可能性があり、欧州のガス危機に拍車をかける恐れもあるからだ。米エネルギー情報局(EIA)が1日午前に発表したデータによると、米国の天然ガスの在庫は8月26日までの1週間に610億立方フィート増加した。この結果、天然ガスの備蓄量は5年平均を11.3%下回る水準にある。備蓄量と5年平均の乖離(かいり)は、冬の前に在庫を積み増すいわゆる「注入シーズン」を通じて拡大している。この夏の天然ガスの需要増に最も貢献したのは電力向けの需要で、米国内の天然ガス消費量の約37%を占める。猛暑で家庭やオフィスでのエアコン使用が増え、電力向け需要が増加した。S&Pグローバル・コモディティー・インサイツのアナリストで北米天然ガス担当のジャック・ウィンターズ氏によると、今年の夏に天然ガスの電力向け需要が特に大きかったのは、価格が急騰している石炭への切り替えが低調だったためだ。
米国もガス危機に直面か、欧州は一段の悪化も
米国で天然ガス急騰の可能性
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