ロシアは天然ガスを欧州と戦う「武器」にしている。原油は今のところ天然ガスのように武器として使われてはいないが、買い手側がロシア産原油価格に上限を設定しようとする動きは、原油も武器になりかねないリスクを高めている。石油輸出国機構(OPEC)とロシア主導の非OPEC産油国で構成する「OPECプラス」は5日、10月から日量10万バレル減産することを決めた。ロシアによるウクライナ侵攻以来、特にサウジアラビアをはじめとするOPEC諸国は、主要パートナーであるロシアと欧米の間で中立的なスタンスを維持することに苦しんできた。米国が増産を求めているにもかかわらず減産を決定したことは、単に世界的に不透明な需要動向に対処しようとしただけかもしれないが、もっと深刻に解釈することもできる。つまり、欧米がロシアの原油価格に上限を設定しようとする動きでOPECの価格支配力が脅かされれば、OPEC側はそれに報復するという警告を発した可能性がある。