欧州諸国は目下、ロシアとの経済戦争がもたらしたエネルギー価格高騰から家計を守るため、救済措置に注力している。だが、借り入れコストが上昇し、国債増発への懸念も浮上する中での財政出動には危うさも漂う。欧州連合(EU)の主要5カ国がこれまでに発表した家計・企業向けの支援策は、合計2030億ユーロ(約29兆1500億円)に上る。支援策により、数百万人が貧困層に転落するのを防ぎ、数千の企業が経営破たんを免れるかもしれない。政府にとってはエネルギー価格高騰による国民の痛みを和らげ、ウクライナへの支持を政治的に下支えしたいとの思惑もある。電力や天然ガスの価格上限設定といった措置は、インフレ抑制の一助にもなり得る。