ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
エルサルバドルってどんな国?
エルサルバドルは中米に位置する国です。太平洋に面し、中米7ヵ国で唯一カリブ海岸を持ちません。
面積は中米7ヵ国の中で最小で、グアテマラ、ホンジュラスと国境を接します。
国名は、スペイン語で「救世主」を意味します。しかし、この国にはなかなか救世主は現れませんでした。
1841年にグアテマラから分離独立しましたが、少数の富裕層が国を支配している状況でした。何度もクーデターが発生し、1979年以降内戦は本格化しました。1992年にPKO(国連平和維持活動)として監視団が派遣され、落ち着きを取り戻そうとしています。
コーヒーのプランテーション
この国の人口密度が高いのは、古くから開発された地域だからです。コーヒーなどのプランテーションが開発されました。
国土面積が小さいため生産量ベスト10には入りませんが、コーヒーはこの国の主要輸出品となっています。
典型的なモノカルチャー経済の国で、このことが政治や経済が不安定の要因の一つになっています。
この課題を克服するために、工業の誘致も進めてきました。第二次世界大戦後初めて日本の企業が海外進出したのはこの国です。
呉羽紡績(のちに東洋紡と合併)の平生三郎(ひらお・さぶろう)は現地の実業家と合弁で繊維工場を設立し、繊維事業を手掛けるユサ社が誕生。その後、中米有数の企業に成長しました。その功績を讃えて、サンサルバドル市にサブロー・ヒラオ公園が開設されています。
エルサルバドル共和国
面積:2.1万km2 首都:サンサルバドル
人口:652.8万 通貨:米ドル、ビットコイン
言語:スペイン語(公用語)
宗教:カトリック50%、プロテスタント36%、無宗教12%
隣接:グアテマラ、ホンジュラス
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)