ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
グアテマラってどんな国?
グアテマラは、カリブ海と太平洋の両方の海に面する中央アメリカの国です。メキシコ、ホンジュラス、ベリーズ、エルサルバドルと国境を接しています。
グアテマラの住民の約4割はマヤ文明につながる先住民が占めています。彼らは約21のマヤ系言語を使用するなど独自の文化を守っています。
マヤ文明は中米各地で都市国家を築きましたが、世界遺産に登録されているティカルは古典期マヤの最大都市であるといわれています。
ティカルは複合遺産で、豊かな生態系も世界遺産登録基準に合致しています。この森に住む『火の鳥』のモデルともいわれるケツァールはこの国の象徴にもなっています。
ティカルが低地に位置する一方で、首都グアテマラシティは高原に位置します。高原は植民者にとっても住みやすい場所です。
同じ高原地帯に位置するスペイン人の作った旧首都アンティグア・グアテマラには、植民地時代の建築物や遺構が残り、世界遺産に登録されています。
カルデラが作り出した世界で最も美しい湖
変動帯に位置しており、火山もあります。しばしば地震などの災害が発生しますが、美しい景観も生み出しています。
地理学者のアレキサンダー・フンボルトが「世界で最も美しい湖だ」と言ったとされているアティトラン湖は、8万4千年前の火山噴火によってできたカルデラ湖です。
火山に由来する豊かな土壌では品質の高いコーヒーなどが栽培されています。
経済的には中位の国ですが、貧富の差が激しく治安もいいとはいえません。日本は地域警察プロジェクトのなどの国際協力を行っています。
グアテマラ共和国
面積:10.9万㎢ 首都:グアテマラシティ
人口:1742.3万 通貨:ケツァル
言語:スペイン語(公用語)、21のマヤ系民族言語
宗教:カトリック41.7%、福音派38.8%
隣接:メキシコ、ホンジュラス、ベリーズ、エルサルバドル
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)