ウラジーミル・プーチン露大統領が発した部分動員令や原油相場の急落、西側による一連の追加制裁を受けて、すでに低迷しているロシア経済にさらなる重圧がかかりそうだ。これまでウクライナ侵攻の戦費調達を支えてきた財政が崩壊しかねない状況に追い込まれている。プーチン氏がウクライナ侵攻にさらなる資源をつぎ込むことを決めたことで、ロシア経済に暗雲が立ちこめてきた。動員令に伴い30万人以上を新たに投入すれば、徴集兵の軍装備や訓練、給料を手当てする必要が出てくるためだ。さらに民間企業にとっては、兵役または徴兵逃れの国外脱出によって人手が奪われ、新たな問題に直面することになる。折しも、エネルギー価格高騰による収益押し上げ効果はピークを過ぎたもようだ。ロシアの財政収支は先月、エネルギー収入の落ち込みが響き、赤字に転落した。これには足元の原油急落や、ロシアが欧州への天然ガス供給をほぼ完全に遮断した影響はまだ反映されておらず、すでにそれ以前の段階で国家財政が手当てできていないことになる。
プーチン氏の動員令、ロシア経済に痛烈な打撃
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