ルターをヴァルトブルク城に匿(かくま)った人物
しかしルターの危機は、有力なドイツ諸侯であるザクセン選帝侯に救われます。
ザクセン選帝侯はルターの考えにも一理あると考えましたが、それ以上にカール5世の勢力が拡大することを恐れました。
そしてルターを自らの居城、ヴァルトブルク城に匿(かくま)ったのです。
匿われて身の安全を保証されたルターは、聖書をラテン語からドイツ語に翻訳する作業に取りかかり、わずか10か月で完成させました(1522)。
ルターの翻訳のおかげで、多くのドイツ人が聖書を読めるようになりました。
すると聖書には贖宥状のことなど一行も書いてありません。
ローマ教会の教えが絶対であるとも書いてありません。
イエスもその弟子たちも質素な生活をしていたことが書いてあります。
教会を批判する声と同時に聖書に帰れという声が、またたく間に拡がっていきました。
アルド印刷所(アルディン・プレス)によって実用化された出版(活版印刷)技術の発展がアジビラ(アジテーション・ビラの略)を生み、ルターの教えを宣伝したのです。