世界的に金融市場の混乱リスクが高まっているにもかかわらず、米国の政策担当者が急速なドル高を抑える措置を講じる可能性は低いと専門家はみている。ドル高は国内のインフレ抑制に寄与することが主な理由だ。米連邦準備制度理事会(FRB)が数十年ぶりの高水準にあるインフレと闘うため利上げを行い、投資家がドル建て資産に資金を移す中、ドルは急騰している。主要通貨バスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は年初来、約16%上昇している。多くの国にとって、ドル高は、ドルで値が付けられた輸入品の原価と、ドル建て債務の返済額を押し上げることを意味する。特に、多額の債務に苦しみ、燃料や食料といった一次産品を主に輸入に頼る発展途上国の多くは打撃を被る。