このままでは中央銀行と政府が衝突する。世界各国の中銀はこの15年間、選挙で選ばれた指導者と結託して経済成長とインフレを高めてきた。インフレが数十年ぶりの高水準となった現在は、多くの政府が、ウクライナ戦争に起因するエネルギーコスト上昇の打撃を吸収したり、国防などの新たな公約を果たしたりするために多額の支出を行っているさなかに、実務家の中銀当局者らが住宅ローンなどの債務返済コストを押し上げている。中銀が利上げを続ければ、政府の債務返済コストは高まり、何百万人もの人が失業する可能性がある。中銀が傍観して低金利を続ければ、投資家や企業・家計は、中銀にインフレを抑えるつもりがあるのかと疑念を抱くようになり、新たな高インフレ時代が定着しかねない。
インフレとの闘い、食い違う中銀と政府の利害
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