中国経済の減速やトランプ政権時代の貿易合意、天然ガスの確保を迫られる欧州諸国の焦りを背景に、中国エネルギー企業の一部が多額の利益を手にしている。この異例の構図は、冬場に向けて在庫の上積みを目指す欧州にも追い風となっている。米国産液化天然ガス(LNG)の長期購入契約を結んだ中国企業は、国内の需要減退を受けて余剰分を転売し、数億ドルの利益を得ている。買い手となっているのは欧州や日本、韓国だ。今年1~8月に米国から中国に入港したLNGタンカー船は19隻にとどまり、前年同期の133隻から急減した。中国税関のデータによると、今年は天然ガスの3割近くをロシアから調達している。予定されていたパイプライン「シベリアの力」からの供給拡大に加え、大幅なディスカウント水準でのロシア産LNGの購入が全体を押し上げているもようだ。