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アナリティクスはイノベーションの原動力。日本経済の再生を促す「ゲーム・チェンジャー」
――吉田仁志・SAS Institute Japan社長に聞く

【第21回】 2013年1月29日
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 また、ローン審査に時間がかかるため、せっかく申し込みに来店した客を「1週間以内に連絡します」などと言って帰ってもらっている業界はたくさんあります。ところが的確なアナリティクスを用いれば、その場で審査結果を伝えた上で、その人に適合する他のオプションを合わせて提案し、契約の押印までもらうことができます。「ビジネスチャンス」というものに対する考え方が変わると言ってもいいでしょう。

アナリティクスが
日本経済を再生へと動かす

――現代は、経済危機や国際情勢の変化、異常気象、自然災害などが複雑につながり、その影響がこれまでにない速さで拡大していきます。こうした環境下では、企業は、変化を察知して的確な対策を講じるタイミングをますます前倒しにしていかなければなりません。アナリティクスの革新力とスピードがどうしても必要になっているといえるでしょう。

 日本経済はもう20年近くの長きにわたって停滞を続けています。他の先進諸国にはない、きわめて厳しい状況です。日本企業の多くは、優れた企業であればあるほど、コスト削減策や改善活動をやりつくして、「これ以上はもう血肉は削れない」というところまで来ているのではないでしょうか。そこで必要なのは、さらなる改善ではなく、ゲーム・チェンジです。仕事のやり方、ルール、コア・コンピタンスを根本から変え、戦う土俵を変えることが日本経済の再生のキーポイントなのです。

 そして、このゲーム・チェンジの原動力となるのが、アナリティクスです。

 さまざまな活用例を挙げましたが、HPAで高速分析するということは、ニューヨークへ行くのに14時間程度かかるという時代に、一瞬でワープする方法を手に入れるようなものです。企業の規模に関わらず、従来は想像もできなかったようなアクションが打てるようになり、ビジネスのルールを根本的に変えることができるのです。

 試合途中で出場し途端に流れを一気に有利に変えてしまう選手を「ゲーム・チェンジャー」と呼びます。アナリティクス、そしてHPAはまさしく、日本企業および日本経済にイノベーションをもたらし、ビッグデータ時代のビジネスの「ゲーム・チェンジャー」となる存在だと言っていいでしょう。

 ある企業では、10商品をピックアップして、アナリティクスとその結果を見てのすばやい施策を試してみたところ、わずか1週間で明らかに収益が上がりました。そこで、対象を100商品に増やしたところ、効果は10倍どころか、飛躍的に大きくなりました。そこで現在は、全社導入をしてビジネスのやり方まで変える取り組みをしています。商品の売上分析ツールではなく、イノベーションの原動力として活用して、ゲームの流れを変えようとしているのです。

 アナリティクスは、小規模なパイロット導入であっても高いリターン率が期待できます。また、より広い範囲で、より深く予測と戦略を適正化していけば、投資に対するリターンはより増大します。

 アナリティクスを、早く、深く、広く使うほどROI(投資収益率)が大きく、自社を有利な地位に導く力を発揮できることを、日本企業の経営者は今こそ念頭に置いていただきたいと思います。

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