松山雅樹氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業
ビジネス・アナリティクス&
オプティマイゼ-ション
パートナー

消費者の購買意思決定において、製品・サービスについての情報発信を企業側が握っていた時代は、ソーシャルメディアの普及によって過ぎ去った。もはや消費者が生み出す膨大な情報(ビッグデータ)が購買意思決定の主導権を握る時代だ。膨大なデータを分析し企業の競争力向上につなげるには何をすればよいか、関心は高まっている。12月に都内で行われたセミナー「第12回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス」に登壇した日本IBMの松山雅樹氏は、ビッグデータを活用した最新のマーケティング手法の事例とそれを実現するIBMのテクノロジーを解説した。

 松山氏によると、競争優位の実現にビッグデータの活用を重視する企業の比率はこの2年間で70%増と急速に増えており、日本企業でも同様の傾向がみられるという。IBMの調査では、4分の3の組織がすでにビッグデータに対する取り組みを始めており、4分の1がパイロットプロジェクトまたは実稼働に進んでいる段階にあるという(下図参照)。

(c) 2012 IBM Corporation

 従来企業側が優位にあった情報の非対称性が崩れた現代において、ソーシャルメディアの分析は、マーケティング部門にとって極めて関心の高いテーマとなっている。しかし、実際のところ使いこなしている企業はまだ少ない。松山氏は、まず取り組むべきこととして、販促キャンペーンのモニタリングとそれに基づくリアルタイムなマーケティング施策の修正(モディファイド・マーケティング)が有効として、直近に関与した2社の事例が紹介された。

 その一つが、カー用品メーカーA社の事例だ。A社では、販促キャンペーン開始後数日間のソーシャルメディアの反応を社名や製品名をキーワードにして収集。競合関係にある数社の製品に対する評判との違いを「マーケティングの4P」(この事例では性能、価格、場所、プロモーション、その他)の軸で整理し、比較分析を行った。