米国で成立した電気自動車(EV)税額控除に関する新法が、アジアや欧州連合(EU)の同盟国から猛反発を招いている。バイデン米政権は国内メーカーの支援と、中国の影響力に対抗することを狙った同盟国との連携の間で、難しい判断を迫られている。争点となっているのは、8月にジョー・バイデン大統領の署名を経て成立したクリーンエネルギー促進に関する法律に盛り込まれたEV補助金の要件変更だ。EU、日本、韓国はいずれも、新法は外国メーカーを不利に扱っており、輸入品と国産品を平等に扱うよう定めた世界貿易機関(WTO)規定に抵触する可能性があるとして、異議を唱えている。米国の貿易相手国は事前の相談もほとんどなく、一方的に制定されたとして反発。製造業における中国の影響力を弱めるため、同盟国との技術共有や優れたサプライチェーン(供給網)構築に向けて経済関係を強化するというバイデン政権の取り組みを阻害すると主張している。