米国で職を探すのは、これまでより少しだけ難しくなった。米連邦準備制度理事会(FRB)が景気に急ブレーキをかけるのを防ぐのには、これで十分だろうか?米労働省が4日発表した8月末時点の求人件数は1010万人(季節調整済み)と、前月の1120万人から大幅に減少した。これは、複数回の利上げと景気減速の可能性に直面している企業が雇用計画を縮小していることを示す、これまででおそらく最も明確な兆候だ。企業が多くの人材を新規採用する必要がもうなくなったというわけではない。8月の失業者1人に対する求人倍率は1.7倍であり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の前であれば驚異的な数字だ。だが、労働者の獲得競争がほんの少し弱まることで、米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレの定着につながりかねないと懸念する賃金圧力が、幾分緩和される可能性がある。その結果、雇用が急速に失われ、明らかなリセッション(景気後退)が分かるレベルに達するまで金利を引き上げる必要がないとFRBが感じるかもしれない。