やったフリして自己満足する時間は、
無駄でしかない

 自己否定することの最大のダメなところは、なんと言っても「自己否定していることで何かちゃんとやった気になってしまう」ことです。

 先ほどの面接前日のイメージトレーニングも、「何も考えずに寝る」よりも、「自分なりにイメージトレーニングをしたから面接対策やったもんな」と、自分が何かやった気にウッカリなりやすいです。

 でも、自己否定イメージトレーニングから入った場合は、「では、その対策をどうするか?」まで考えてやっと完了です。じゃないと「対策」になっていませんよね。

 なのに「あー、こんなにいろいろ考えたけどダメだこりゃ」でほとんどの人が終わります。これは「何も考えずに寝る」ほうが変な気負いがない分、対策としてはマシなのに、対策を考えたフリだけでごまかしている状態。完全に無意味です。

「記憶力が悪いから、どうしてもアピールしたいポイントだけは覚えておいて、最初の言葉だけでも親指の付け根にボールペンで書いておくか」

「運が悪いので嫌な面接官に当たっても予想通りだなって思えるからマシだな」

「緊張して口ごもったとしても、自分はしゃべりが自慢の芸人でもないし、伝えたいことが不格好でも伝わればいいや」

「面接官がここまで受験者を緊張させるほうが悪いとも言える。面接官が圧迫面接するタイプなら、その会社のレベルが低いってことだから受からなくていいや!」

 とか、全部自己否定に対しての対策、及び切り替え準備までやって初めて「面接のイメージトレーニングをした」と言えるんじゃないでしょうか。

 え? やれない? なら何もしないで寝ましょう。何度も言いますがそっちのほうが、悪いイメージで面接を受けなくて済む分、良い状態で面接を受けられます。

 世の中「やらないほうがいいこと」「やるだけ時間の無駄になること」がたくさんあります。そのうちの一つが「自己否定して、やったつもり、やったフリして自己満足する」ことです。

真面目に生きている人ほど気を付けたい 今すぐやめるべき悪いクセとは?【書籍オンライン編集部セレクション】イラスト:ナカニシヒカル

 POINT:
 自己否定して、やったつもり、やったフリして自己満足する時間は無駄。

真面目に生きている人ほど気を付けたい 今すぐやめるべき悪いクセとは?【書籍オンライン編集部セレクション】バク@精神科医
元内科の精神科専門医 中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。