コロナの感染拡大、経済活動自粛による困窮、他人とコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。(初出:2021年10月6日)
自分を褒める理由を探すよりも、
自己否定の理由を探すほうが簡単
自己否定の多い人は、とかくいろいろなことを否定名人と言いたくなるほど、否定しがちです。
たとえば明日、就職活動の面接があるFさん。面接前にいろいろ考えます。
「自分は記憶力が悪いから、考えてきたことをその通りに話せないんだろうな。運もいつも大体悪いほうだしな。面接官も絶対嫌な人に当たっちゃうんだろうな。緊張してきた。緊張したら元々コミュニケーションが下手なのに、いつもよりもっとしどろもどろになっちゃうんだろうなぁ。あー面接なのに口ごもっちゃったら、きっと相手も呆れちゃうだろうな…いや、最悪面接官を怒らせてしまったら……云々」
面接や本番前のイメージトレーニングは何においても必要ですが、こんな感じで「僕の考えた最悪の面接!」ばかりイメージトレーニングしていたら結果も最悪になりやすいです。
自分の脳内でつくり上げてしまった恐ろしい面接官を相手に、勝手にオドオドしながら面接をスタートしてしまったら、当然結果もよくなるはずがありません。
では、なぜ人は自己否定をし出したら、止まらないのでしょう。それは、自分を褒める理由を探すよりも、自己否定の理由を探すほうが簡単だからです。
「自分を五個褒めてみてください!」と言われて、すぐに五個並べられる人は少ないですが、「自分のダメなところを五個あげてください!」と言われると、皆「五個どころか…」といくらでも並べることができます。
真面目に生きている人ほど、自分の行動への文句やダメ出しは簡単に思いつくのですが、反面自分のよいところを見つけたり、褒めたりすることには慣れていません。